キリムの町 「コテル」

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ブルガリア中部の町、ガブロヴォからさらに東へ向かい、「コテル」という町を目指しました。コテルはキリムというブルガリアのウールの手織りカーペットで有名な町です。

キリム以外に何もない町と思っていたのですが、周りを山に囲まれ、今までに行ったことのあるブルガリアの田舎の景色とはまた違っていてとても素晴らしいところでした。

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コテルには夕方に到着したため、まず宿を探そうと車を降りると、子供たちがボール遊びをしていました。一人の男の子が私に気づいて、変な外国人が来たと思ったのか、他の子供たちが投げたボールが頭に当たってもまだ不思議なものを見るように私を見ていました。(写真の左側に写っている男の子。)他の子供たちも私に気が付いて、恥ずかしそうに、「ハロー」と英語で挨拶してくれました。

町の中にホテルは2軒しかなく、とりあえず一番近くにあったホテルに行ってみることにしました。カジノホテルというホテルで、名前からして怪しそうでしたが、町で通りかかった子供連れの女の人に聞くと、このホテルの方がいいのではないかということでした。

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そのホテルは夜にはカジノと書かれたネオンが灯され、それはブルガリアの田舎にはまったく不釣合いな様相でした。カジノといっても地下にコイン式のスロットマシーンが置いてあるだけのようで、誰かがそこで遊んでいるようには見えませんでした。

ソフィアにはカジノ付きのホテルが何軒かあるのですが、このような田舎でどうにか宿泊客を獲得しようと考えた末の結果がこのカジノ付きのホテルなのかと思うと、私の心は少し痛みました。

外見は怪しかったホテルですが、中は普通のホテルでした。他の部屋より少し高かったけれど、私たちは町全体が見下ろせる3階建ての最上階の部屋に泊まることにしました。

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最初はせっかく田舎に来たのにカジノ付きの変なホテルに泊まるのは嫌だと思っていたのですが、この部屋から見える景色によって気持ちは一変しました。

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そして次の日は朝早くから町の中を散策しに出かけました。

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コテルではちょうど冬支度が始まっていました。

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薪がトラックで各家の前まで運ばれ置かれて行く様子を町のあちらこちらで見かけました。

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そしてこののこぎりの付いた車に乗ったおじさんたちがやってきて、薪の積まれた家の前に停まっては、薪を小さく使いやすい大きさに切っていきます。車の後ろ側に乗った独特の雰囲気をかもし出していた髭のおじさんが特に私の目を引いたのですが、残念なことに、写真を撮るときにこちらを向いてくれませんでした。

コテルにはキリムの博物館があるというので行ってみました。博物館の前では女の人たちがキリムや刺繍付きのテーブルクロス、手編みの靴下などを売っていました。

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博物館の中に入ると、古くて貴重なキリムが展示されていました。やはり今ブルガリアで売られているものとは比べ物にならないほど丁寧で色使いや模様も素適でした。

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ここではカーペットとして使うキリムのほかに、絵をキリムで再現したものも展示されていました。

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博物館で働く女性の一人が目の前でキリムを織るデモンストレーションをしてくれました。縦に張られた綿の糸の間に毛糸を横に通し、その後櫛のようなもので上から下へ通した毛糸をきっちり詰めていくという作業の繰り返しで、見たところ簡単そうです。簡単な模様の図面を書いてから織るようですが、細かくマス目を数えて模様を作るのではなく、織ったところを目で見て確認し、色を変えながら模様を作っていくのだそうで、すごく根気と経験が必要なしごとだと思いました。こちらでは2週間でキリム織りの基本を教えてもらえるコースもあるそうで、今度1ヶ月ぐらい滞在して習ってみたくなりました。

その後偶然通りかかったキリムの作業所を訪れました。

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小さな一室で、2人の女性が一枚の大きなキリムを作っていました。私たちの姿を見るとにこっと笑い、「こちらに来て見て行って。」と言われ、誘われるがままに見学させてもらいました。

ここは昔大きなキリム工場だったようですが、その後キリム産業が衰退し、今は元事務所だったところの一角に小さな作業所があるだけです。コテルの若い人たちはキリム織りには興味がないようで、織り手は年長の方が多いようです。

昔は普通に女の人が家庭で織っていたキリムですが、今のブルガリアの人たちにはあまり人気がないようです。キリムを買っていくのはほとんどが日本人やその他の外国人、そしてたまにブルガリア人だそうです。

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かつてコテルでは、写真にあるような、一見木造でできたように見える家が建てられました。建物自体はレンガ造りで、その外側に寒さを遮断するための木材が張り付けられています。この建物は現在民族博物館になっています。

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かつてこの家には中流クラスの男性とその家族が暮らしていましたが、彼は4万匹もの羊を飼い、その羊から取れた毛はトルコの兵士が着る洋服に使われる生地となったそうです。

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こちらはまだ結婚していない娘さんの寝室。やはりこちらの特産であるキリムが部屋に敷かれていました。

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こちらは家族がくつろぐ部屋ですが、床にはキテニックという布地に羊毛を縫いつけた敷物が敷かれています。

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これは女性たちが洋服を作るための作業部屋。

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布を織るための部屋。

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夏用台所。暑い夏にはここが寝室代わりになったようです。

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うちの旦那さんの曾おばあちゃんはいらなくなったセーターなどをほどいた毛糸でキリムを作っていたそうです。博物館でキリムを織って見せてくれた女性は、キリムは表50年裏50年、交互に使えばあわせて100年は使えると言っていました。

これからもキリムがブルガリアの伝統工芸品としてその技術が伝承され、そしてコテルののどかな景色がいつまでもこのままあり続けてほしいと思いました。

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